高く本を積む

日々読んだ本。社会人の勉強(日本史・世界史・経済学)潰瘍性大腸炎。

あり得ないことはあり得る。「偶然の統計学」の感想

偶然の統計学の感想 あり得ないと思うことはあり得る。

「偶然」の統計学 (ハヤカワ・ノンフィクション)
デイヴィッド・J・ ハンド
早川書房
売り上げランキング: 809

ロトで連続大当たり。2回連続で雷に打たれる。3大会連続でホールインワン達成。暗殺の夢を見たあとに暗殺されたリンカーン。統計学者に言わせると、こうした「ありえない」出来事は、じつはけっこう頻繁に起こっているという。統計的な考え方は直感では理解しにくいから、現代人必携のリテラシーとしてしっかり身に着けておきたいもの。奇跡なんてうさんくさい、あるいはカモられたくない・騙されたくないあなたに捧げる確率・統計解説。

スポンサーリンク

  

超大数の法則によれば、ある事象が起こりうる機会が十分な数だけあるなら、1回の機会で起こる確率がごくわずかだとしても、その事象はおこるものとおもっているべきである。

例えば1年の間に雷にあたって死ぬ確率は30万分の1である。

この確率はかなり小さい。

でも地球の人口は約70億人もいる。

で、これだけの人が1年間に落雷で死ぬ人がだれもいない確率は10のマイナス10133乗となる。10のマイナス2乗は0,01。

落雷で誰も死なない確率はかなり低い。

ということは、落雷で誰かが命を落とすものだと思っているべきだ。

実際統計では毎年2万4000人ほどが落雷でなくなっており、けが人の数はその10倍ほどにのぼっているらし。

スポンサーリンク 

 

私たちが到底起こりそうにないと見なす出来事が起こるのは、私たちが理解を誤っているからだ。

袋に中に黒いビー玉が1個と白いビー玉が99万9999個入っているとあなたに伝える。あなたは中に手を入れ、色を見ずにビー玉を1個取り出す。色は黒だった。

この確率は低い。ほとんど不可能と言ってもよい。

でも、ここで考える必要があるのは、黒いビー玉を取り出す確率をもっと高める何かが考慮されていないということだ。

袋に入っている黒いビー玉の数が本当に1個だけである確率や、私がうそをついている確率については、何一つ明言されていないことに注意されたい。

起こった確率はきわめて低い時は、状況の理解に誤りか見落としがあったという結論に導かれる。

 

世の中のおこる事象は様々なことが絡み合った結果で、確率の判断が難しい。

一見あり得ないと思えるようなことも、手順を追って考えていけば、そうではないことがある。

 

この本を読むとあり得ないことでも十分あり得るということが分かるし、ありえないことはありえないと見てよいことも分かる。

確率についてあまり深く考えたことがなかったから、そういう見方もあるのかと思うと、興味を持って読めた。

たとえ話や例がたくさんちりばめられているので、読みやすく、かつ面白い。

「偶然」の統計学 (ハヤカワ・ノンフィクション)
デイヴィッド・J・ ハンド
早川書房
売り上げランキング: 809